PowerShellは、Windows、macOS、Linuxといった異なるOS間でスクリプトやコマンドラインインターフェース(CLI)を活用するための強力なツールです。
IT管理者や開発者にとって、OSに依存せずに利用できるという点が魅力で、特に自動化や効率的なタスク管理に役立ちます。
本記事では、Windows、macOS、LinuxにおけるPowerShellのセットアップ手順を詳細に説明します。
それぞれのOSごとにインストール方法や初期設定、基本的なコマンドの使用方法を解説し、環境構築をスムーズに進められるようにします。
PowerShellとは?
PowerShellは、Microsoftが開発したタスク自動化フレームワークであり、シェルとしての機能を持っています。
主に以下の3つの特徴を持ちます。
- コマンドラインインターフェース(CLI):ターミナルでコマンドを実行し、ファイル操作やシステム管理などを行います。
- スクリプト言語:高度なタスクを自動化するためのスクリプトを作成可能です。
- クロスプラットフォーム:Windowsだけでなく、macOSやLinuxでも使用できます。
これにより、異なるOS間で同じスクリプトやコマンドを再利用することが可能になり、IT管理の効率化が図れます。
WindowsでのPowerShellのセットアップ
既定のPowerShellを確認
Windowsには標準でPowerShellがインストールされていますが、バージョンが古い場合もあるため、最新バージョンのインストールを確認しましょう。
- PowerShellのバージョン確認
PowerShellを起動し、以下のコマンドを実行します。
現在インストールされているバージョンが表示されます。$PSVersionTable.PSVersion
最新版PowerShellのインストール
PowerShell 7.x系は、最新機能が提供されているバージョンです。
これをインストールするためには、以下の手順を行います。
- Microsoft公式サイトからダウンロード
PowerShell GitHubリポジトリのリリースページから、Windows用の最新リリースバージョンをダウンロードします。 - インストーラを実行
ダウンロードしたインストーラ(.msi)をダブルクリックし、インストールウィザードに従ってインストールを完了させます。 - PowerShellを再起動
インストールが完了したら、新しくインストールされたPowerShell 7を起動し、再度バージョンを確認しましょう。pwsh
$PSVersionTable.PSVersion
macOSでのPowerShellのセットアップ
Homebrewでのインストール
macOSでは、パッケージ管理ツール「Homebrew」を使用することで、簡単にPowerShellをインストールできます。
- Homebrewのインストール
まず、Homebrewがインストールされていない場合は、以下のコマンドでインストールします。/bin/bash -c "$(curl -fsSL https://raw.githubusercontent.com/Homebrew/install/HEAD/install.sh)"
- PowerShellのインストール
次に、Homebrewを使ってPowerShellをインストールします。brew install --cask powershell
- PowerShellの起動
インストール後、以下のコマンドでPowerShellを起動します。pwsh
- バージョンの確認
起動後、以下のコマンドでインストールされたバージョンを確認します。$PSVersionTable.PSVersion
Visual Studio CodeとPowerShell拡張のセットアップ
macOSでPowerShellを効率的に利用するために、Visual Studio Code(VSCode)とPowerShell拡張機能をインストールするのが一般的です。
- VSCodeのインストール
Visual Studio Code公式サイトから、VSCodeをダウンロードしてインストールします。 - PowerShell拡張機能のインストール
VSCodeを開いたら、拡張機能パネルから「PowerShell」を検索してインストールします。
LinuxでのPowerShellのセットアップ
PowerShellのインストール
Linuxディストリビューションによってインストール手順は異なりますが、今回はUbuntuを例に説明します。
- Microsoftリポジトリの追加
以下のコマンドでMicrosoftの公式リポジトリを追加します。sudo apt-get update
sudo apt-get install -y wget apt-transport-https software-properties-common
wget -q https://packages.microsoft.com/config/ubuntu/$(lsb_release -rs)/packages-microsoft-prod.deb
sudo dpkg -i packages-microsoft-prod.deb - PowerShellのインストール
リポジトリを追加したら、以下のコマンドでPowerShellをインストールします。sudo apt-get update
sudo apt-get install -y powershell - PowerShellの起動
インストールが完了したら、以下のコマンドでPowerShellを起動します。pwsh
- バージョンの確認
PowerShellが正常にインストールされたことを確認するため、次のコマンドを実行します。$PSVersionTable.PSVersion
他のLinuxディストリビューションでのインストール
- CentOSやRHELの場合も、Microsoftのリポジトリを追加した上で、yumやdnfを使用してインストールが可能です。
- Arch Linuxの場合、AUR(Arch User Repository)を利用してインストールします。
初心者向けのPowerShellコマンドの使い方
PowerShellの環境が整ったら、いくつかの基本コマンドを試してみましょう。
ファイルとディレクトリの操作
- 現在のディレクトリを確認
Get-Location
- ディレクトリの内容を表示
Get-ChildItem
- 新しいディレクトリを作成
New-Item -ItemType Directory -Path "NewFolder"
- ファイルの内容を表示
Get-Content -Path "example.txt"
システム情報の確認
- プロセス一覧を表示
Get-Process
- ディスク使用量を確認
Get-PSDrive -PSProvider FileSystem
演習問題
最後に、PowerShellの基本を確認するための演習問題を紹介します。
以下の問題を解いて、PowerShellの理解を深めましょう。
問題1: 簡単なディレクトリ操作
次の条件に従って、PowerShellで操作を行ってください。
- TestFolderという名前のディレクトリを作成する。
- そのディレクトリ内に、example.txtという名前の空のファイルを作成する。
- example.txtに「Hello, PowerShell!」というテキストを追加する。
- example.txtの内容をPowerShellで確認する。
問題1 解答例
# 1. ディレクトリを作成
New-Item -ItemType Directory -Path "TestFolder"
# 2. 空のファイルを作成
New-Item -ItemType File -Path "TestFolder/example.txt"
# 3. ファイルにテキストを追加
Add-Content -Path "TestFolder/example.txt" -Value "Hello, PowerShell!"
# 4. ファイル内容を表示
Get-Content -Path "TestFolder/example.txt"
まとめ
本記事では、Windows、macOS、LinuxでのPowerShellのインストール手順を解説しました。
各OSにおける設定方法に違いはありますが、一度セットアップが完了すれば、PowerShellを活用して効率的なタスクの自動化やシステム管理を行うことができます。
PowerShellの基本コマンドを習得することで、さらに高度なスクリプトの作成や運用にも挑戦できるようになります。
これを機に、ぜひ自分の環境でPowerShellを活用してみてください。