VBScriptでCOMオブジェクトを使用してExcelやWordを操作する方法

COMオブジェクトとは

COMオブジェクトは、Windows環境におけるオブジェクト指向技術の一つで、異なるプログラム間でオブジェクトを共有するために使用されます。

Microsoft OfficeのExcelやWordもCOMオブジェクトとして扱うことができ、外部のプログラム（この場合はVBScript）から操作可能です。

VBScriptでCOMオブジェクトを利用する準備

VBScriptを使ってExcelやWordを操作するためには、まず該当するアプリケーションのCOMオブジェクトを呼び出す必要があります。

以下のようなVBScriptのコードで、ExcelやWordのオブジェクトを作成します。

' Excelアプリケーションを起動する
Set objExcel = CreateObject("Excel.Application")

' Wordアプリケーションを起動する
Set objWord = CreateObject("Word.Application")

CreateObject関数は、指定されたCOMオブジェクトを作成し、それをスクリプトで操作可能な形で返してくれます。

Excelの操作方法

Excelファイルの新規作成

まず、VBScriptでExcelを操作する基本的な流れを確認します。

以下のコードは、新しいExcelファイルを作成し、セルにデータを書き込む例です。

' Excelアプリケーションを起動
Set objExcel = CreateObject("Excel.Application")
objExcel.Visible = True ' Excelを画面に表示する

' 新規ワークブックを追加
Set objWorkbook = objExcel.Workbooks.Add

' シートのセルにデータを入力
objWorkbook.Sheets(1).Cells(1, 1).Value = "Hello, Excel!"
objWorkbook.Sheets(1).Cells(2, 1).Value = "VBScriptから操作しています。"

' Excelファイルを保存（ファイルパスを指定）
objWorkbook.SaveAs "C:\Users\YourUsername\Documents\VBScript_Excel_Sample.xlsx"

' Excelを終了
objWorkbook.Close
objExcel.Quit

このコードでは、Excelを起動し、セルA1およびA2にテキストを書き込んでいます。また、ファイルを指定のパスに保存しています。

Excelの既存ファイルを開く

次に、既存のExcelファイルをVBScriptで開く方法を紹介します。

' 既存のExcelファイルを開く
Set objExcel = CreateObject("Excel.Application")
objExcel.Visible = True ' Excelを画面に表示する

Set objWorkbook = objExcel.Workbooks.Open("C:\Users\YourUsername\Documents\ExistingFile.xlsx")

' シートのデータを読み込む
strData = objWorkbook.Sheets(1).Cells(1, 1).Value
MsgBox "A1セルの値: " & strData

' Excelを終了
objWorkbook.Close
objExcel.Quit

ここでは、既存のExcelファイルを開き、A1セルのデータを取得してメッセージボックスに表示しています。

Wordの操作方法

Word文書の新規作成

続いて、Word文書を新規に作成し、テキストを書き込む方法を見てみましょう。

' Wordアプリケーションを起動
Set objWord = CreateObject("Word.Application")
objWord.Visible = True ' Wordを画面に表示する

' 新規文書を作成
Set objDocument = objWord.Documents.Add

' 文書にテキストを追加
objDocument.Content.Text = "VBScriptを使用してWordを操作しています。"

' 文書を保存（ファイルパスを指定）
objDocument.SaveAs "C:\Users\YourUsername\Documents\VBScript_Word_Sample.docx"

' Wordを終了
objDocument.Close
objWord.Quit

このコードでは、新しいWord文書を作成し、本文にテキストを書き込みます。その後、ファイルを指定のパスに保存しています。

既存のWord文書を開く

次に、既存のWord文書を開いて内容を読み取る方法を紹介します。

' 既存のWord文書を開く
Set objWord = CreateObject("Word.Application")
objWord.Visible = True ' Wordを画面に表示する

Set objDocument = objWord.Documents.Open("C:\Users\YourUsername\Documents\ExistingFile.docx")

' 文書の内容を取得
strContent = objDocument.Content.Text
MsgBox "文書の内容: " & strContent

' Wordを終了
objDocument.Close
objWord.Quit

このコードでは、指定したWordファイルを開き、その内容を取得してメッセージボックスで表示します。

演習問題

この記事の内容を基にした演習問題を通じて、実際に手を動かしながら学習を進めましょう。

演習1: Excelにデータを書き込む

次の条件を満たすVBScriptを作成してください。

• Excelを起動し、新しいワークブックを作成する。
• A1セルからA5セルに、順に「1」「2」「3」「4」「5」という数字を書き込む。
• Excelファイルを保存し、終了する。

Set objExcel = CreateObject("Excel.Application")
objExcel.Visible = True
Set objWorkbook = objExcel.Workbooks.Add

For i = 1 To 5
    objWorkbook.Sheets(1).Cells(i, 1).Value = i
Next

objWorkbook.SaveAs "C:\Users\YourUsername\Documents\VBScript_Excel_Exercise.xlsx"
objWorkbook.Close
objExcel.Quit

演習2: Wordにテキストを書き込む

次の条件を満たすVBScriptを作成してください。

• Wordを起動し、新しい文書を作成する。
• 文書の先頭に「VBScriptによるWord操作」というタイトルを書き込む。
• タイトルの下に「これがVBScriptからWordを操作する方法です。」という本文を追加する。
• 文書を保存し、終了する。

Set objWord = CreateObject("Word.Application")
objWord.Visible = True
Set objDocument = objWord.Documents.Add

objDocument.Content.Text = "VBScriptによるWord操作" & vbCrLf & "これがVBScriptからWordを操作する方法です。"

objDocument.SaveAs "C:\Users\YourUsername\Documents\VBScript_Word_Exercise.docx"
objDocument.Close
objWord.Quit

まとめ

VBScriptを使用してExcelやWordを操作することで、簡単な自動化やデータ操作が可能になります。

COMオブジェクトを活用することで、Microsoft Office製品のさまざまな機能を外部プログラムから制御できるため、効率的な業務処理やデータ管理が実現します。

演習問題を通じて、実際に操作してみることで、理解がより深まるでしょう。